2018年平成三〇年、弥生三月が終わり、あと数日で卯月四月。
弥生三月は、江戸の人々にとって別れと出会いの節目月となっていた。
その人間関係の区切りの日は三月四日、それを江戸時代は「出替わり」とも呼んだそうな。
年ごとの奉公契約の満了の日であり、更新日であり、新規採用の初出勤日だった。
学校や役所の新年度が四月なのは、この「出替わり日」の旧暦の名残りなのか。
丁度、桜の開花の頃で、
ひとつ屋根の下で喜怒哀楽を分かち合った仲間と、
これから先、分かち合って行くであろう仲間と、
杯を酌み交わしながら新旧の絆を確かめ合うのが、花見だったか。
勤続年数や功績でそれは序列の厳しい江戸時代の社会だったが、この月だけは無礼講で山のように盛り込んだ料理を、上下の隔てなく直箸(じかばし)で好きなだけ食べるのを許された。
・・・が、いまは別れも出会いも唐突で、目安になる月・季節すらなくなって。
急に仕事を変わったり、
やめさせられたり、
合う度違うスタッフを伴っていたり、なんとめまぐるしいことか。
物やとりわけ心を調えたり準備したりの余裕さえない。
だから、せめて春のうちに会う約束をして、
じっくり選んだ絆だけを頼りに、
古い友とは昔話ではなく、これからのことを
新しい友とは抱負なんぞではなく、これまでのことを
たっぷり、花咲く季節の中で話したい。
そんな別れと出会いの酒宴
蕎麦屋のコアガリで、旬の肴・はしらわさびで蕎麦屋で一杯ももうすぐです。